彫和会 / 髙野明会長【お面作りの会】
今回、取材させていただいたのは、青梅青色申告会会長、髙野明氏の、お面作りの会「彫和会」です。
会長のお宅に伺うと、数名の方が楽しそうに作業中でした。風情ある囲炉裏を囲む壁一面に、お面が飾ってあります。作ったお面は、お祭りや、お囃子、文化祭などで使われることも。ここでは主に能面と神楽面を制作されています。能面は江戸時代のものの資料を見ながら、寸分たがわず作らなくてはならず、そこが難しくもあり面白いそうです。神楽は、文字通り、「神様を楽しませる」ための舞踊であり、見た目がユーモアで表情豊かなお面が好まれます。同じお面でも、作り手によって表情が様々でした。
会長は14年ほど前にお面作りをしている方と知り合い、遊びに行ったのがきっかけで、お面作りの世界に魅了されました。現在ではお仲間も増え、毎週、お面作りの会を開催しています。元々の職業も様々で、お面作り経験が2,3年の方から10年以上の方まで幅広く参加されています。
お面作りは、大きな一枚板(桐やヒノキ)から掘り始めます(写真参照)。その10センチくらいある一枚板を、型に合わせてノミで削っていきます。顔の表情ができたら、裏面を彫ります。彫り終わったら、胡粉(貝殻を粉にしたもの)に、膠(にかわ・魚の皮や骨で出来ていて、お面に胡粉を接着する)を混ぜたものを塗ります。5,6回胡粉を塗ってはサンドペーパーをかけます。その後、色とりどりの顔料で着色します。一つのお面を作るのに、早くても2週間、長いと3,4カ月掛かることもあるそうです。
皆さん、慣れた手つきで、楽しそうに作業に励んでおられました。彫る道具は毎回研いで大事に使っているそうです。参加者のおひとりに、「何かお面つくりで大変なことはありますか?」と伺ったところ、「このようなお面作りの場所を提供していただいて感謝しているし、とにかく楽しいので、なにも大変に感じることはありません。」と笑顔で仰っていました。